Pseudoromance#12 (ページ10)

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【今晩、ご飯でもいかがでしょうか？ホテルのディナー予約しました。キムテヒョンさんの好物も特別に繕って頂けるようです。】

「……はぁ、」

なんでいつも文章が接待に誘う、みたいにお堅い内容なんだろう。……しかも了承を得る前に予約する馬鹿が何処にいるんだ。

多分そこには断らないという無駄な自信と断るはずがないという無言の圧力が存在しているから。

それでも俺は毎回人情もなくお断りしている、勿論そこに勘違いさせる要素がないように。

常日頃から高級料理は胃がムカムカしそう。食で吊られる単純な俺はテレビの中でしか存在しないこと、出会ってまも無い彼女は知るはずないか。

でも何かと理由をつけないと断れないのは大分酷すぎる。父親の顔を立てるのも一苦労だな。

【すみません。今後お誘い頂いても、ご一緒できません。これ以上しつこくするのであれば、全てブロックさせて頂きます】

とは言っても俺は父親の言いなりにならない。＿＿＿＿
はっきり言わないと分からないお嬢様には悪いけど、もう少し現実を見た方がいい。

こういうプライドが高い権力者は後々とんでもないことを企んでくるんだが俺はディズニー映画にでてくる王子様よりも。欲しいものは力ずくで手に入れるダークヒーローが相応しいだろう。

ただ、そんなダークヒーローも。真実の愛には叶わなくて。王子様を羨ましがり、妬んだりする。

「……、いいか？お前が連絡してこないから、仕方ない！今から行くからな！」

怒っているんだぞ、という過剰アピールを込めて(人1)にボイスメッセージを残す。といっても、その頃にはもう既に(人1)の家の前に居るんだが。

不審者に見られないように堂々と。かつ目立たないように行動しないと。と、ガードマンに愛想良く挨拶を交わして建物に入った俺はインターフォン目前で。

「！」

隠れる羽目になった。そこには俺より先にインターフォン前で立ち尽くしているジョングガが居たから。

(人1)の引越し先を知っていたのか。険しい表情で何かを話してるジョングガは、「あー、っくそ」時折、悔しげに唸っていた。

中々家に上げてもらえない要因は自分じゃないの？諦めて帰ればいいのに、と思いつつ数分後。ジョングガは(人1)の部屋へと消えていく。＿＿＿

俺は途方に暮れて。＿何を期待したんだろう。傍にあったゴミ箱へ投げ入れた。