Pseudoromance#12 (ページ5)

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「大きな病院だね……」

『うん、……待って中にまで着いてくるの？』

「うん。」

芸能人がこぞって通う、この病院。噂には聞いていたが実際中に入るのは初めてだ。

(人1)が『予約してる人以外入れないはず』と言うのも信じられるほど厳重にプライバシーに配慮してくれるのも、この病院のモットーらしい。

だから無駄な変装は必要ない、と言っても。いつもの癖で帽子とマスクで顔を覆ってしまった。

一般とは違う出入口を通って、真っ先に受付に向かう(人1)は。遠慮がちに『連れは、……入れませんよね？』なんて聞いているのだが、

「えっと、……本日は2人でお越しいただくと、事前に予約頂いてますので。お連れ様も、どうぞ。……こちらにお名前、よろしくお願いします」

これも社長のはからいらしい、すんなりと俺は病院に歓迎された。ただ本当にこの病院は信頼出来るのだろうか。

俺が名前を記入した瞬間、うわっと声を上げて。奥から医療関係者共々が顔を出してきて見世物のように扱われたのだが。

これが、ここの当たり前のように。(人1)は先へと進んでいく。そして『……だから、来ない方がよかったでしょ？』と後ろを振り向かず俺に言った。

「……、公共の場であんな嫌な気持ちになったの初めてかも」

『うん。でも、ちゃんと外部に漏れることはないから。あの程度、我慢しないと』

「違うよ。なんであの人達、驚いてたか分かってる？」

『……え？』

「(人1)と一緒に来たのが、噂の渦中にあるキムテヒョンじゃなくて、俺だったから。」

『……だから、大丈夫。私達の関係は外に漏れないって「バレようがバレまいが、どうでもいいんだけどさ」

「……なんで、キムテヒョンじゃないんだって悲観されるのが嫌だ」

子供みたいなこと言って、(人1)を困らせてる自覚はある。でも、それぐらい余裕のない俺には気に触った。たかが、こんなことだろうと。いつまでも俺が(人1)の特別だと誰からも認められない、みたいで。

『……出会った時から、ずっと同じ事言ってるね。グゥはさ私がテヒョンの代わりだと思って一緒に居ると思ってた？』

「ううん！それはない！」

『……そうだよね。……グゥ、これから先もし驚くようなことがあったとしても、その気持ちは変わらないでいてくれるかな？』