Pseudoromance#12 (ページ32)

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｢……すみません。

私、こういうものですが。社長さん、よろしくお願いします。｣

｢……＿＿＿＿どうぞ、お待ちしておりました｣

にっこりと微笑んだ受付嬢。予期せぬ歓迎に、思わず表情が曇ったのは言うまでもない。ここまでの余裕、彼らにはないはずなのに。

初めて来た時よりも丁寧な受け答え、私に関しては体を冷やさないようにとブランケットを用意してくれていた。

その優しさが異常だと思えるのは、よほどこの会社に裏切られてきたからだろうか。

そうこうしてる間に、客間に案内されて。これはなんの真似だろう。お茶が用意されていたのだが。誰一人手をつけることはない。

｢……あの、長居するつもりはないので手短に｢社長は今席を外しておりますので暫くお待ち下さい。……後10分後に事前収録も終わる予定ですので、お話はそれからの方がいいと思います｣

AIのロボットのような話し方が不気味。役者が揃うまで待てと、時間を指定してきたのは、そちらなのに。やはりぞんざいな扱いは変わらないのか。

すると社長は、はっと部屋を見渡して。私と同じ違和感を覚えたらしい。何かに見張られてる感覚、この部屋に隠しカメラがあるということ。

｢ねぇ、ちょっとお姉さん。もう一部屋、用意してもらえないかしら。｣

｢……何故ですか？｣

｢今からする話は、(人1)にとって。とても体に良くない内容だから。別室に移動させたい｣

｢それは私共で判断しかねます。｣

｢頭硬いわねー。そんなの上の人の許可いらないでしょ？あっちにもこっちにも空き部屋はあるようだけど｣

｢……社長がいらっしゃるようです。お待ち下さい｣

｢は？話ぐらい聞きなさいよ。｣

BIG HITの社長は、どんな不祥事も一切メディアに出てこない。影の支配者といった所だろうか。そんな人が私とジョングクの関係に釘を指し、ジョングクをあれほどまで追い詰め狂わした。

正直、私はそんな社長を前にして。冷静でいられるか分からない。

ただ彼の立場からすれば尊敬止まない恩師。いくら敵だとしても感情的にだけならないようにと言い聞かせて。ゆっくり深呼吸をした。