Pseudoromance#12 (ページ27)

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｢体調、良さそうね。

……また一段と大きくなったじゃない｣

『皮肉ってる？……入る服がこれしかないの。社長の服貸してよ』

｢なっ、失礼な！……一応クライアントにも(人1)が妊婦だってこと伝えてるから。気を遣わずリラックスして｣

『……ありがとう』

｢どうせ、もうじき世間にも知れ渡ることだしね。婚姻届、ちゃんと書けたの？｣

『……あ社長。クライアントさん来たよ』

仕事が私には一番のストレス発散方法なのかも。自分の商品価値は妊娠した時点でないと思っていたのに。クライアントさんは、こぞって私の人柄を褒め讃えてくれた。

過去の栄光にも叶わないほど輝いている。だなんて褒め殺しされたのは初めてかも。

｢……そうなんです、(人1)は今仕事に制限をしていまして。｣

｢それでも仕事のオファーは殺到しているんでしょうね。(人1)さんは限りない広告塔だ。その中で、私共にご連絡頂いて嬉しい限りです｣

｢……そんな。このような突然な事態にも柔軟に対応して頂きこちらこそ嬉しい限りです。(人1)の体調を最優先して。スケジュールを組むことになりますので、何卒ご迷惑をおかけすると思いますが、ご了承ください。」

｢いいえ、是非そちらの方針に従わせていただきます。(人1)さんがメディアに出なくなって、幾分ファンは嘆いてることでしょうしいい後押しをさせて頂きますね。｣

この仕事に決めてくれた社員さんに感謝したいほど気持ちよく仕事が進んでいく。本格復帰時期はいつ頃になりそうか、との色んなメディアからの問い合わせも殺到していると聞いて。

私も複雑な思いでいる。早くいつもの日常に戻れたらとも思う反面、これからはシングルマザーになるんだ、子供優先でありたいとも思っていて。

｢(人1)さん、…失礼でなければ、お腹触ってもいいですか？｣

『あ、はい』

｢……うわー。きっと産まれてくるお子さんは皆さんに愛されて、容姿にも恵まれて。真っ直ぐな子になりますね。(人1)さんとキムテヒョンさんの子供ですもん、間違いありませんよ｣

『……っ、』

思わず笑顔が固まってしまった。まだ風化していない私とキムテヒョンとの結婚を祝福してくれている、この温かい手に居た堪れない思いを抱えていて。

今この現状を打破する為だとしても、そうだったらよかったのに、と願ってしまった私を許して下さい。