Pseudoromance#12 (ページ23)

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｢……早く行ってヒョンに慰めてもらいな、

俺にこんな酷い事されたんだって、大きくなった腹を撫でてもらえよ。とことん俺を悪役にすればいい。｣

『……、あのさっ！｢ヒョンは俺と違って、お前の体を労わってくれる。よかったな、本来あるべき場所へ胸を張って帰れる｣

口を開けばいつもテヒョン、テヒョンって。もう聞きたくない。いくら弁解しても彼は永遠に口にするんだろう、＿＿＿＿正解なんて存在しない。

私にはもう無理だ、と吹っ切れた瞬間だった。

｢＿＿＿＿そういえば、この前エントランスのダストボックスに真新しい花束が捨ててあったっけ。……ここに何回も来てるんだな。俺が居るのに白昼堂々と浮気なんて、(人1)。何の説得力もないよ。…そんな人だと思わなかった。｣

疲れきった心は否定する気力もない。また答えの出ない口論に心を痛めるのは、いつも私の方だから。『好きなように解釈してもらって構わないよ。』やや投げやりに彼に言ったのだが。

｢ねぇねぇ。じゃあさ、これからはセフレとして関係を深めていくってのはどう？……もちろん赤ちゃんが産まれてから。ヒョンにはバレないように、｣

｢……(人1)の体、一生玩具にさせてよ。お前も都合いいだろ？俺達、体の相性は抜群だし｣

彼はこの場に及んで、まだじわじわと私を壊していく。そしてまた彼が発した過去の失言に嘘をみつけてしまった。

私は、やっぱり貴方の【ラブドール】なんだね。

これで彼に泣かされたのは何度目だろうか。涙を啜って、私は彼に渡そうと思っていた婚姻届、記入していた時の幸せを噛み締めながらビリビリに破いて彼に投げつけた。

『……私達がもう会う事はない。関わる事もない。貴方は女性を幸せにする資格ないけれど、それでもグゥを追いかけてくれる人は今後沢山居ると思う。次こそは失敗を繰り返さないように、そして社会の重圧、責任から解放されて、のうのうと生きて下さい』

『……ただ、その幸せは誰かの不幸の上で成り立っていること。一生忘れないで』

｢……」

誰かのせいにはしたくない。この結末は、私が彼を愛した故に決まっていた未来だったんだろう。

そう思えば、私は彼を嫌わずにいられる。と思っていても、お腹に感じる胎動を伝って。何故か悔しさが込み上げてくる。彼を愛した記憶がまだ新しいから。鮮明だから。

『これでいいんだ』と、いつまでも自分を肯定できなかった。