Pseudoromance#12 (ページ3)

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だが、＿＿＿＿

一向にそんな様子は見えない。時間はかかっていたが俺の作ったご飯を小さな一口で噛み締めているように思った。

ちらっと見た(人1)の表情も先程よりも生気が溢れて。瞳に覇気がある。一先ず、ここは安心してよさそうだ。

『グゥ』

「！……なに？」

唐突に(人1)の呼ぶ声に動揺を見せないよう振る舞うも。思わずトングを落としそうになった。

もしかして吐きそう？＿＿＿＿少し身構えながら様子を伺うが俺の不安を打ち消すかのように、ゆっくり(人1)が近付いてきて、

『どうして、グゥがここにいるの？』

「……」

その軽蔑した瞳を向けてくる。確かに勝手に来たのは俺だけど、何も言えなくなる、その瞳はどうして。心をえぐってくるんだろうか。

俺の犯した罪を改めて思い知らされるようだった。＿＿＿＿

「ごめん、……帰る『待って！』

「……え」

『待って…って』

咄嗟に掴まれた俺の腕。かーっと熱を帯びてくるのは何故だ。久しぶりに触れられたからといっても、こんなことでドキドキするのは小学生ぐらいなのに。自ら俺に触れてきたこと、今までの我慢が相乗効果となって。

火照った頬、潤んだ瞳、少し余裕のなくなった表情は。俺をもっと熱くさせた。

『……帰って欲しいわけじゃない。』

「……」

『ご飯、……ありがとう。美味しかった。』

緩んだ頬は、ましてや予想外。俺を期待させてどうするの？
掴まれたままの腕が、そっと離れて。『グゥは？お腹すいてないの？』と、俺を愛していてくれていた(人1)を演じてくれてる。

それが本心なら、俺がその体を抱きしめても拒否しない？

美味しいとまでのお世辞が行動が、これほど俺に勇気を与えてくれたみたいだ。

自然な流れで、

「いいよ、(人1)は座ってて。片付けは俺に任せてくれる？」

(人1)の肩に触れた。それでも(人1)は『本当に？でも、』なりふり構わず話を続けている。だから、強引に。

『！、グゥ！！』

お姫様抱っこして。ベッドルームへ連れていった。嫌なら引っぱたいてでも拒否すればいいのに。勘違いしそうなぐらい、俺の体に身を任せた(人1)の姿、

それだけで報われるほど満たされたのに。

『……っ、もう帰るの？』

俺を引き止めては寂しげに、さっきよりも強く掴まれた。