Pseudoromance#12 (ページ18)

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「……そこまでの我慢をしてまで、僕はこの会社に必要なんですか？」

｢当たり前だろ。正直な所お前だけが頼りなんだよ。他のメンバー皆、誰一人言う事聞きやしない。Vなんてビジュアルで売ってるのに、スキャンダルばかりだ。」

「…それに比べてお前はブレずに人気を維持してる。ここまでの信頼をファンから勝ち取ったお前からの結婚報告なんて株価も一気にガタ落ちだぞ。いいか？グループいいや、会社の柱になってるお前が1歩でも道に外れたら会社は潰れる」

大袈裟に大事に持ち上げてくれるほど俺は大切にされていたのかな。＿＿＿＿思わぬ期待に驚きながら、その必死ぶりは時に脅しのようにも思えた。でも売れない頃からお世話になってる社長だ、

頭が上がらないのも事実ではあって。この会社に懸ける思いは嫌でも理解している。

「……もし、これがキムテヒョンなら。社長は見過ごしますか？」

だけど会社の優劣がここまで歪んでいるのには納得いかない。俺と同じように、テヒョンにも心を拘束してほしい、規則で縛って欲しいのに、

「過去にキムテヒョンは社員皆の同意なく勝手に立花(人1)と結婚の話を進めていた、入籍の日取りまで決めていたんだから、見過ごす前にはもう手の施しようがなくなるだろうな。＿＿」

結局、テヒョンには逃げ道があった。

俺のような真面目な性格が損をすると思い知らされたようで。聞くんじゃなかったと理不尽にテヒョンを羨み、妬み、絶望した。

ただ、あれくらい世間の風潮を顧みず無頓着になれないと(人1)を幸せにできないのだろう。これは努力や忍耐で、どうにでもなることじゃない、その人にしかない才能なのだから。

当然俺はキムテヒョンに適うはずなかったんだ。

俺の大嫌いな運命でさえも味方につけた。(人1)とキムテヒョンは大勢の人に祝福されながら。神に誓うんだ。二人がもう離れることの出来ないよう赤ん坊を授けてくれてありがとう、なんて感謝しながら。

＿＿＿＿なんて二人の未来は聡明でカラフルなんだろう。
(人1)の人生において俺は二人の愛を引き立てる為の、たかが脇役
だったんだ。