Pseudoromance#12 (ページ1)

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JKside

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思わず息を止めた。

玄関からすぐに広がったリビングには空気清浄機、お掃除ロボがしきりに働いて。開けっ放しのカーテン、飲みかけのペットボトルが床に転がったまま。

まだ荷解きも終わっていない隅に重なったダンボール、一人で片付けている(人1)の姿を思い描いては胸が傷んだ。

思わず感傷に浸っていた俺は。社長さんに「後は頼んだよ、食材は冷蔵庫にたんまりと買ってあるから」って不意打ちに逃げ帰って行く背中に慌てた。

きっと、あの様子からして(人1)には俺が来ると伝えてはないんだろうから。こんなサプライズ喜んで貰える状態ではない、のにさ。

ただ体調が悪いのは本当らしい。綺麗好きな(人1)から予想できない乱れた部屋、身動きできない状態なのだろう。

(人1)はどこだ。＿＿＿＿一先ず勝手に部屋に来てしまったことの謝罪だけでもしておかないと。俺は不審者に思われてしまう。

しかし一人で暮らしいるとは思えないほどの広さに苦戦した。前のマンションでさえも広すぎると苦言を吐いていたのに。これは将来を見据えての部屋選びなのだろうか、その真相は考えたくない。

「……、(人1)」

他の部屋よりも生活感がある。膨らんだベッドの中に(人1)を見つけた気がした。

布団に潜って、その人物は分からない。でもサイドテーブルに置かれたスターチスの花束。更に、俺が(人1)にプレゼントしたことのある手作りのキャンバスアートが飾られてあった。

＿＿＿＿大事に持っててくれたんだ

「ふぅ……」

いざ声をかけようと。そっとベッドの傍にしゃがみ込む。すると、

「……っ！(人1)！！」

頬は紅く険しい顔をして息を荒らげてる。今にも泣き出しそうな(人1)がいた。

頭で何度も繰り返していた台詞。【ごめんね、(人1)が心配で勝手に部屋に入ってしまった。嫌ならすぐに帰るから……】とかのうだうだとした建前はすっ飛んで。

僅かに俺の声に反応を示した(人1)が、『グゥ……』と涙を流した。

「……っ大丈夫？」

熱があるのかも、とそっとおでこに触れようと手を伸ばしたのだが、

【私に触れないで】

復縁の条件がフラッシュバック。＿＿そっと腕を引っ込める。

『……み、ず』

「あ、うん！待ってて！」

水と適当に手に取ったスポーツドリンク。慌てて(人1)の部屋へ持っていくと。ゆっくりと体を起こして飲んでくれた。